自己紹介
自分が何をしている人なのか、自分でもうまく説明できない。
基本的には現在「無職」の人で、一歳になったばかりの赤ちゃんと暮らしている。
家でやっていることといえば、赤ちゃんの後を追いかけてオムツを替えて、服を着せたり、赤ちゃんのご飯用に、めんどくさいなと思いながら小さいおにぎりを作って食べさせ(正確には、食べるのを見守りつつ、うまく食べられるようにアシストして、ほめたたえながら美味しいねぇを連呼し)たり、延々と赤ちゃんが渡してくるブロックを積み上げたり、放り投げられたかわいそうなぬいぐるみやオモチャを拾い集めてはまた散らかされたり、そんな無限地獄のような、罰ゲームのようなことばかりである。
特に何もしていないに等しい。
特に何もしていないはずなのに、家は散らかったままだし、布団は敷きっぱなしだし、洗濯物は干しっぱなしである。ご飯を作った後の洗い物だってそのままだったりもする。
おかしい。
特に何もしてなくて、家の中も散らかりっぱなしなのに、何故か私はとても疲れていて、気が付けば日が暮れていたりする。
おかしい。
赤ちゃんと暮らしていると自分が別の時間軸の世界にやってきたかのような気持ちになる。
赤ちゃんとそんな感じで暮らしながら、私は、全くお金にならないイベントを企画したり、企画されたイベントにスタッフとして参加したり、イベントにスピーカーとして登壇させてもらったりしている。
「イベント」も一言で表しても内容は様々で、選挙に関わること、差別問題に関わること、多文化共生に関わること、内容だけでなく、写真展やトークイベント、映画の上映会、デモ、勉強会、書いていて後他に何かあったよな、と悩むぐらい多岐に渡っていて、どう説明すれば分かりやすいかもよくわからない。
まぁそんな感じで「何か」をやっているのだけど、「何か」をやるための打ち合わせに、私はいつも赤ちゃんを連れて行く。
連れて行く、というか、別に誰もめんどう見てくれないから連れて行かざるを得ないのだけれど、とりあえず、どこでもかしこでも、誰と打ち合わせる時でも、赤ちゃんを連れて行く。
赤ちゃんがベビーカーや抱っこ紐の中でスヤスヤ昼寝してくれているならラッキーだけど、そんなうまくいく時はごく稀で、だいたいハイパーに起きていて、採れたての新鮮な魚みたいな感じでビチビチに跳ねている。
跳ねてキーキー叫ぶ赤ちゃんを片手に抱きながら資料を探し、メモを取り、早口で喋る。
大丈夫ですかと言ってくれる打ち合わせ相手と周りのために、「分かってるよ~ごめんね~」と間に赤ちゃんへの愛想をはさみつつ、オヤツを活用して、何とか打ち合わせを終える。
最近は歩くようになってしまった赤ちゃんを、そこら辺に放流し、離れすぎたりややこしい所に入り込みそうになるとダッシュで連れ戻す運動も加わった。
打ち合わせは遅々として進まないし、全く集中できない。
気が付けば日が暮れている。
そもそも打ち合わせ場所へ行くのに時間通りに辿り着けることも少なく、ものすごく早く着くか、少し遅刻してしまうかで、何故か思い通りの時間に到着することはできない。
赤ちゃんとの暮らしと、「打ち合わせ」なるものが行われる外の世界ではやはり時間軸が違っていて、どこでかは分からないけれど、家を出た辺りでワープでもしているんじゃないだろうか。どうすればうまく噛み合わせられるのか分からない。
それが赤ちゃんと暮らしている者の業のようなものだと勝手に思い込んでいて、みんなあまねく呪われているんじゃないだろうか。
私は仕事じゃない打ち合わせで、まぁ週に一回二回で済んでいるけれども、仕事をしながら赤ちゃんと暮らしている人たちは、こんなワープを毎日やっているのかと思うと脳みそがどうにかなってしまいそうだ。
仕事は、休めないし、遅刻もできない。
みんな、本当にそんなことを…?
考えただけでも恐ろしく、そろそろ赤ちゃんとの暮らしに、 今やっている「何か」だけでなく「仕事」も組み込んでいこうかと思っているのに、到底できる気がしない。本当に脳みそがどうにかなってしまいそうだ。
そんなことを考えてばかりいたら、今日も日が暮れている。
「赤ちゃんとの暮らし」にはそこかしこにゆがみがあって、私がいくら努力してもなんとかなることではないのじゃなかろうかと最近思っている。
次回が時間軸に狂いなくあるなら、もう少し「何か」について話せたらいいなと思います。
あ、11/20日曜日に大阪は湊町リバープレイスで、ミナミダイバーシティフェスティバルという多様性を祝うイベントをやります。よろしくお願いします。
HPはこちら http://diversityfes.com
2016.10.20 カワモトマチコ