Zapping blog ~世に唱えるリレーブログ~

オモシロメンバーによる、リレーブログです。住んでる場所も、生い立ちもバラバラ。blogでつながったキセキ。ザッピングをするように、眺めてください。

そのままにしていること。沖縄、高江。

沖縄に行って来た。
観光はもうすでに充分満喫していて、世界遺産に認定されたグスクも大方回り尽くした。
飲屋街はまだまだこれからだけど、今回の一番の目的は、高江に行くことだった。

 

本当は、「沖縄」じゃなくて「高江」に行って来たと書きたいところだけど、「高江」はただ通り過ぎただけだった。

 

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最高の飲み屋街栄町市場

 

 
今、高江でどんなことが起こっているのかご存知だろうか。
高江では今、民意に反した米軍のヘリパッドの建設が国によって推し進められている。
「推し進められている」と言うとはものすごく他人行儀な気がする。
ただ通り過ぎただけの私でさえ、高江で起こっていることは「推し進められている」なんて生易しいものではなく、「無理矢理」「強行」「踏み付け」「傲慢」に「推し進められてい」た。
 
私が高江を通り過ぎたのは11/3のことだった。
何にもないのどかで沖縄然とした道を車でのんびり進んだ。本当はもっと朝早くから高江に向かいたかったが、赤ちゃんのいる身ではままならないのと、前日少し飲み過ぎたのがたたっていた。
ただの山道だった。
突然、山道の中で駐禁規制の現場に出くわした。
突如目の前に警官と車両とが目に入り、それに向かって数人の市民が抗議をしていた。
今、便宜上「市民」という言葉を使ったけれど、「市民」という言い方はあまりしっくりこない。
警官の誘導に従い、駐禁規制の横を通り過ぎた。
また5分ほど何もない山道を走った。
何もない山道の向こうに「かまぼこ」が目に入った。「かまぼこ」の正しい名前は常駐警備車らしい。
何もない山道で私たちは検問に出くわした。
愛知県警のチョッキを着た若い警官にどこへ行くのか尋ねられた。
「集会に参加されるんですか?」と彼は聞いて来た。その言葉や物言いには「まさかそこに行くんじゃないだろうな?」「行かせないぞ」といった空気が潜んでいた。
私たちは家族連れを装い、この先のカフェに行くからと言って誤魔化した。
「何かあったんですか?何のための検問ですか?」という簡単な私たちの質問は無視された。

 

 

どうして誤魔化したりしたんだろうか。
正直少し怖かった。愛知県警のチョッキを着た若い警官の物言いは優しかったけれども、とても威圧的だった。
何もない山道で行われている検問は異様だった。ああ、ここには憲法で保障されている「集会の自由」も、説明責任も、そんなものはないんだなと思った。

 

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平穏な山道に現れた検問

 

 

またしばらく進むと山ほどの警官と車、山奥には似合わないかまぼこが道路の脇を埋めている。
促されるまま私たちは通り過ぎた。
ゲートの前で、誰から隠すために囲われているのか、抗議行動をしている人たちを壁のように警官が重なりあって塞いでいた。
延々と続く道路脇の路上駐車を追い越して、ただiPhoneのシャッターを切っていた。

 

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異様な数の警官。集会は全く見えない。

 

 
路上駐車の切れ目に民間警備会社のアルソックの若者が3人、通行案内をしているところに車を停め、子どもを降ろし、アルソックの3人と少し言葉を交わした。
彼らは至って普通で、遠くから出張できていること、民間警備は何人くらいいるのか、年齢なんかを気軽に答えてくれた。
通り過ぎたゲートの前だけが、私の知っている現実世界とはかけ離れていた。
あそこだけが異様に熱く、それをまるで覆い隠すかのように配備された若い警官たちが恐ろしかった。
 
私の足りない言葉では、ものすごく陳腐で、なんの説得力もないけれど、高江では、沖縄では、普通では考えられないことばかりが起こっている。
 
高江の住民約140人のほとんどが反対している中、工事が推し進められ、住民の方々は生活しながら反対運動をしている。
これは「市民運動」なんがじゃない。
よくネトウヨ冷笑主義者が揶揄して、沖縄での基地反対派は活動家ばかりだとかプロ市民だとか言うけれど、通り過ぎた私も活動家でもないしプロ市民でもない。
高江のヘリパッド建設に反対しているのは住民の人たちだ。
そして沖縄に住むおじいおばあたちだ。
 
沖縄のおじいおばあたちは、バスに乗り合い何時間もかけて高江にやって来る。

 

もちろん彼らは活動家でもなければプロ市民でもない。
なんだかよく分からないことを「活動家」「プロ市民」「左翼」なんて言葉でカテゴライズして、自分には関係ないと切り捨てる。だけど、高江で起こっていることは、沖縄で起こっていることは、他人事なんかじゃない。
あそこで起こりうることは、私の隣でだって起こりうることだ。
 
沖縄には素敵でキレイな海があり、豊かな自然に恵まれ、美味しいお酒がある。
沖縄に行くと言えば、うらやましがられる。
でもみんな高江で起こっていることを知らない。辺野古で起こっていることを無視する。
こんなことを言う私は、活動家でもプロ市民でも左翼でもない。
だけど、沖縄のことをこのまま置き去りにはしたくない。
まずは知って欲しい。
今、沖縄はどうなっているのか。
高江で何が起きているのか。
基地反対を叫んでいるのは誰なのか、ヘリパッド建設反対を叫んでいるのは誰なのか。
高江の豊かな自然を、辺野古の美しい海を。
そして、沖縄で起こっていることを許さないで欲しい。

 

 

 
私は、高江のヘリパッド建設に反対しています。
沖縄にも、日本のどこにもアメリカの基地はいらない。

 

 

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工事車両が来ない日の集会は少しのどかだった。そのギャップがとても怖い。

 

 

2016.12.26 カワモトマチコ